米国国勢調査局が発表したデータによると、2023年には米国で500万件以上の新規事業申請が行われました。ビジネスチャンスを求めて米国に目を向け続けている企業の多くは、欧州(ドイツ、フランス、イギリス、イタリアを発端とする申請)です。
当然のことながら、欧州をはじめとした企業のグローバルな拡大は、現地で人材を確保できないため、米国市場で専門職、管理職、その他の役割を果たすために米国外の労働者を異動させる必要性を高めています。さらに、外国人人材の異動は、特に事業の初期段階において、専門的な知識や組織的慣行を米国人パートナーと共有する必要性によって促されることも多いです。
事業者にアドバイスを提供しながら、企業法務弁護士および移民法弁護士が協働するのは、まさに米国における新事業の設立の場面です。これらの過程で移民法および企業法務は多くの点で相互に関連します。例えば、事業計画の作成は、事業設立のためのロードマップとして、また移民ビザや非移民ビザの申請において重要な証拠となります。同様に、事業を行うための物理的な敷地の選択と確保は、様々な要件を満たすために必要です。 他国での新事務所開設の通常のプロセスに関わる多くのステップは、新事務所のための非移民ビザ請願書に関わるステップと一致しています。
特に、新興企業や他国から米国に進出する企業のためのE-2投資家およびL-1A請願への関心が高まっています。一般的に、E-2投資家非移民は、米国と通商航海条約を締結している国の国民が、米国の事業に多額の資本を投資する場合に、米国への入国を許可するものです。企業は、E-2登録のために海外の関連する米国領事館に提出する請願書の中で、新しく設立する会社を含むE-2投資家登録書類を提出します。
会社が登録されると、その会社と同じ国籍を持つ幹部や管理職、または専門的な技能を持つ従業員を連れてくることができます(つまり、ドイツの会社はドイツ人の従業員を連れてくることができます)。米国領事館は通常、2年単位で米国に入国できる5年間のE-2ビザスタンプを発行します。
これに対し、L-1A 非移民ビザは、米国の雇用主が、海外の関連オフィスから米国に設立されたオフィスに役員または管理職を転勤させることを認めるものです。このビザは、米国に関連オフィスを持たない外国企業が、米国に事務所を設立する目的で役員または管理職を派遣することも認めています。
どのカテゴリーであっても、米国への進出を考えている企業は、会社設立の適切な戦略や、米国で外国人材を確保するための最善のルートを特定するために、企業や移民法の弁護士と緊密に協力することを検討すべきといえます。不適切なビザや労働許可証のカテゴリーを選択すると、特に最近のUSCISの申請手数料の値上げも相まって、費用がかさむ可能性があります。同様に、会社設立を誤ると、法的責任や税制面で大きな損失を招く可能性があるので注意が必要です。
事業設立と従業員雇用を伴う米国市場への戦略的進出は、深刻な結果を招きうる潜在的な法的落とし穴を避けるため、慎重に準備すべきです。
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