loader
Page is loading...
Print Logo Logo
イリノイ

速報

競業避止・勧誘禁止契約に制限を課すイリノイ州新法、2022年1月1日発効

ハイライト

競業避止契約及び勧誘禁止契約(Non-Compete, Non-Solicit Agreements)を規制するイリノイ州法のFreedom to Work Actの改正法が年明けに施行される。

改正法下では、競業避止契約及び勧誘禁止契約を締結するイリノイ州の雇用者は、新たな制限と要件が課される。

イリノイ州の雇用者は、既存の契約及び関連する慣行を速やかに見直し、新法に従わなければならない。

プリツカー州知事が2021年8月13日に署名して成立したイリノイ州のFreedom to Work Actの改正法が2022年1月1日に施行されます。これにより、イリノイ州の従業員に対する競業避止および勧誘禁止を課す契約には多くの重要な変更が必要となります。

イリノイ州の雇用主は、既存の契約の雛形や関連する慣行等を早急に検討する必要があります。

新法の概要

本法案は、雇用主には従業員寄りとみなされる場合もありますが、従業員と雇用主間の利益バランスをはかるものとしてイリノイ州議会が超党派で審議した結果成立したものです。

新法の主な要点は次のとおりです。

  • 発効日 - 改正法は、2022年1月1日以降に締結された競業避止や勧誘禁止等の制限を課す契約に適用される。遡及的な適用はされず、それ以前に締結された契約には影響しない。
  • 競業禁止や勧誘禁止等の制限を課すことができる従業員の年収の下限の引き上げ - 改正法は、年収75,000ドル以下の従業員に対する競業避止を課す契約を禁止し、年収45,000ドル以下の従業員に対する勧誘禁止を課す契約を禁止する。これらの下限額は、今後、インフレに比例して増額される。「年収」には、給与、ボーナス、コミッションなど、従業員のW-2に反映されるすべての課税対象報酬が含まれる。
  • COVID-19関連の解雇 - 改正法は、従業員が制限を課される期間中に基本給と同等の報酬(別の雇用主に雇用された場合は受け取った給与等を差し引いた差額)を受け取らった場合を除き、COVID-19パンデミックにより、または「パンデミックに類似した状況下」で失業した従業員に対してこれらの契約を強制ことを禁じている。改正法ではどのような状況が「パンデミックに類似」しているのかについてのガイダンスは提供していない。
  • 弁護士費用 - 契約の執行を求める雇用主による訴訟で勝った場合、従業員は弁護士費用を回収できる。
  • 司法長官による執行 - イリノイ州司法長官には、改正法の違反について調査し、訴訟を起こす権限が与えられ、裁判所は、違反した雇用主に民事罰を科すことができる。
  • 考慮期間 - 従業員には、契約を確認し、署名するかどうかを決定する期間として、最低14日間の猶予を与えることが義務付けられている。契約書に署名する前に、雇用主が書面で従業員には弁護士に相談する権利があることを通知しない限り、契約は無効となる。従業員は、自発的に署名する限り、14日間中に自由に契約に署名できる。 
  • 充分な対価 - イリノイ州裁判所の判例法が成文化されており、契約書への署名と引き換えに職業上または経済上の利益(たとえば、現金支払いまたは追加の休暇時間の付与)がない限り、従業員が契約に署名してから少なくとも2年間以上雇用されていることが契約の拘束力の要件となる。
  • 正当なビジネス上の利益 - 従業員との雇用関係終了後に競業避止、勧誘禁止を課す契約を課すことが雇用主にとって正当なビジネス上の利益であるか否かの判断は、裁判所が事実と状況を全体的に考慮し、ケースバイケースで行われる。
  • 過度に広い制限範囲に関する改正 - 過度に制限範囲の広い契約については、契約全体を無効にするのではなく、裁判所が条項の修正または削除をその裁量権によって選択できる。

新法の適用外となる契約

本新法が適用されない重要な契約。

  • 守秘義務契約 - 秘密情報及びトレードシークレットの守秘義務契約および発明譲渡の契約には改正法は適用されない。これらの契約は、引き続き既存の法律および原則に準拠する。
  • 事業の売却 - 事業の所有権の獲得または処分に関連して締結された契約には改正法は適用されない。
  • ガーデン休暇条項 -従業員が退職する場合に事前通知の提供を、当該期間は雇用が継続し、報酬が支払われるものと定める「ガーデン休暇」の条項には改正法は適用されない。
  • 再就職禁止条項 -退職する従業員には、一般的に同雇用主への再就職を禁じる契約が含まれるが、改正法はこれには適用されない。

雇用主の注意点

改正法の施行に伴い、雇用主はこれまでの慣行や契約書の雛形を変更する必要があるか検討することをお勧めします。少なくとも、2022年1月1日以降に締結された契約には、14日間の考慮期間と弁護士に相談する権利に関する新しい文言を含める必要があります。新法は既存の契約には影響を与えませんが、修正された新たな契約を締結する場面を見込み、迅速な対応が望まれます。

©2021 Barnes & Thornburg LLP. All Rights Reserved. 書面による許可なく複製することを禁止します。

本ニュースレターは、法律の最新情報、動向をご案内するものであり、いかなる場合も法務サービス、法務アドバイスの意味を持つものではありません。本ニュースレターは、一般的な案内目的でのみ配布されるものですので、個々の問題については弁護士までご相談下さい。

関連記事

メーリングリスト登録

ニュースレター、イベントのお知らせをメールでお送りします。サブスクリプションセンターからお申し込みください。(無料)

メーリングリスト登録へ
最新情報 Connect
本サイトはより快適に閲覧いただくため、クッキー(Cookie)を使用しています。 サイト内のリンクをクリックすることでクッキーの使用にご承諾頂いたものとみなします。