loader
Page is loading...
Print Logo Logo

速報

ハート・スコット・ロディノ法最終規則:M&Aに与える影響

ハイライト

米国連邦取引委員会(FTC)と司法省(DOJ)の新規則では、合併認可の前に、予想される製品や開発中の製品を含め、競合範囲の重複について詳細な説明が必要になります。

買収者は、業界における過去の買収実績や少数株主情報を開示しなければなりません。

新規則は早ければ2025年1月に実施となります。

2024年10月10日、米国連邦取引委員会(FTC)および司法省反トラスト部門は、ハート・スコット・ロディノ法(HSR)で義務付けられている合併前の情報開示について、大幅な変更を盛り込んだ最終規則を発表しました。注目すべき変更点として、HSRの基準を満たす合併または買収の両当事者は、事前に届出書を提出しなければならず、FTCは必要な情報の収集に2~3倍の時間がかかるとしています。

この新規則は連邦官報(Federal Register)への掲載から90日後に発効する予定ですが、早ければ2025年1月になる可能性もあります。

新たな要件

この新規則によるコンプライアンスのプロセスでは、合併には事前の届出が必要となり、買収者と被買収企業はそれぞれ別のフォームに記入し、必要とされる書類や情報の種類と範囲が大幅に拡大します。新たな開示情報には以下が含まれます。

  • 買収者の現在または計画中の製品またはサービスが、被買収者の現在または計画中の製品またはサービスと競合するもの(または可能性)についての情報、および各顧客カテゴリーにおける上位10社の顧客。
  • 被買収者の事業と競合する上位10社の顧客および上位10社のサプライヤーを含め、ライバル企業が合併後の企業に主要な製品・サービス等を依存している可能性があるかどうかを判定するための供給関係の情報。
  • 取引の根拠、すなわち、各当事者が買収の戦略的理由を説明。
  • 市場および競争に関する広範な文書、通常の業務として作成された計画や報告書を含む、役員または取締役に加えて「取引チームリーダー(supervisory deal team lead)」を含む、より広範なカテゴリーの人員から収集した情報。
  • ロールアップ買収の可能性を判定するため、過去5年間、または売上または資産が1000万ドルを超える事業体または事業の場合、重複している競合範囲を開示。
  • 当事者間の既存の取り決めまたは契約のすべてを開示。
  • 買収者、または重複範囲の製品・サービスを扱う子会社の少数株主、5%以上の株式を保有する投資家を含む所有構造に関する詳細情報。
  • 役員、取締役、企業構造に関する詳細情報。

HSR最終規則変更の影響

FTCは、この新しい書類作成にどの程度の時間がかかるかについて以下のとおり述べています。

  • • 当事者は、HSR計画をより早期に開始する必要があります。FTCは、これらの変更により、書類や情報の収集、HSRフォームの記入に2~3倍の時間がかかるようになると推定していますが、実際にはさらに必要となる可能性があります
  • • 当事者は、現在の競争の重複範囲およびその可能性について、より早期かつ詳細に調査する必要があります。
  • • 当事者は、通常の業務文書や取引文書に市場シェアや競合についての情報を記載する場合、また「監督チームリーダー」や役員、取締役に提供する文書について、慎重さが必要となります。
  • • 買収者は、報告義務のない買収であっても、その後に開示が必要となる可能性があることなどを考慮し、競争の重複範囲を確認しておく必要があります。
  • • この新規則が施行されれば、DOJとFTCは早期終結申請の保留を解除し、当事者は標準の30日間の待機期間よりも短い期間での決定を申請できるようになります。
  • • 実施日以前にHSR申請を行う場合、追加の開示義務を回避できます。

2023年6月の規則案から削除されたその他の変更

FTCは当初、2023年6月の規則改正案において、はるかに広範な変更を求めていましたが、多数のパブリックコメントや異議を考慮し、変更事項の多くを却下または修正しました。例えば、改正案では広範な人事情報の提出や、新しい文書の作成が義務付けられることになっていました。また、文書のドラフトや、通常業務に関する多くの文書の提出も求めていました。最終規則では、これらの要件は削除されています。

要点

新しいHSR規則は、特定のM&Aの完了前に求められる開示事項を大幅に拡大するものです。関係者は、影響を受ける取引の不要な遅延を避けるため、これらの文書の作成計画を早めに立てることが必要となります。

詳しくは英語版をご覧ください。

本ニュースレターは、法律の最新情報、動向をご案内するものであり、いかなる場合も法務サービス、法務アドバイスの意味を持つものではありません。本ニュースレターは、一般的な案内目的でのみ配布されるものですので、個々の問題については弁護士までご相談下さい。

©2024 Barnes & Thornburg LLP. All Rights Reserved. 書面による許可なく複製することを禁止します。

関連記事

メーリングリスト登録

ニュースレター、イベントのお知らせをメールでお送りします。サブスクリプションセンターからお申し込みください。(無料)

メーリングリスト登録へ
最新情報 Connect
本サイトはより快適に閲覧いただくため、クッキー(Cookie)を使用しています。 サイト内のリンクをクリックすることでクッキーの使用にご承諾頂いたものとみなします。