速報3.10.26

雇用法の現状:イリノイ州は逮捕歴に基づく差別を禁止

イリノイ州旗

本シリーズでは、州ごとに異なる雇用法の特徴について解説していきます。

ある日、従業員が出勤せず、欠勤の連絡もしていないとします。他の従業員たちが、その理由についてひそひそ話しているのを耳にします。その後、新聞を開くと、その従業員が逮捕されたこと、しかも極めて重大で到底容認できないような犯罪であるとあなたが考える事案であることを知ります。このような場合、その逮捕を理由に当該従業員を解雇することはできるでしょうか。イリノイ州の雇用主であれば、原則として解雇すべきではありません。

イリノイ州は、逮捕歴を差別禁止法上の保護対象としている点で特徴的な州です。具体的には、イリノイ州人権法(Illinois Human Rights Act)において、逮捕歴は保護対象とされています 。この法律のもとでは、逮捕歴(有罪判決に至らなかった逮捕、少年記録、または抹消・封印・非公開とされた犯罪歴を含みます)を理由として、解雇、採用拒否、その他の不利益な雇用上の措置を行うことは違法です。したがって、刑事事件が係属中である場合であっても、また最終的に有罪判決に至らなかった場合であっても、単に逮捕されたという理由のみで従業員を解雇することはできません。

さらに、この法律はより厳格です。イリノイ州の雇用主は、従業員や応募者に対して逮捕歴について質問することすら許されていません 。上記の事例においては、従業員に対して、問題となっている違法行為を実際に行ったかどうかを尋ねることは可能ですが、その際に逮捕という事実に言及しないよう十分に注意する必要があります。

このような制度は、雇用主にとって理解が難しいものとなり得ます。これは、私が以前説明したイリノイ州における有罪判決歴の取扱いとも関係しています。有罪判決がある場合、雇用主は不利益な処分を行う前に、当該従業員に対してその有罪判決について質問しなければなりません。一方で、逮捕歴については、いかなる場合であっても質問してはならないとされているにもかかわらず、有罪判決に基づいて解雇する場合には事前に質問する義務があるという点で、制度としては一見不整合にも見えます。

本ニュースレターは、法律の最新情報、動向をご案内するものであり、いかなる場合も法務サービス、法務アドバイスの意味を持つものではありません。本ニュースレターは、一般的な案内目的でのみ配布されるものですので、個々の問題については弁護士までご相談下さい。

©2026 Barnes & Thornburg LLP. All Rights Reserved. 書面による許可なく複製することを禁止します。

英語版

執筆者:Douglas Oldham

日本語でのお問い合わせは日系企業サービス部門までお願いします。