最高裁がIEEPA関税を無効と判断:輸入業者にとっての重要ポイントと今後の展開

- 本日、米国最高裁判所が国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act:IEEPA)に基づいて課された関税について判決を下した。
- 最高裁は6対3の賛成多数で、IEEPA関税は違法かつ違憲であると判断した。
- ただし、多数意見は、過去に支払われた関税の還付方法や手続について、あるいは昨年交渉された特定国(たとえば欧州連合や日本等)との貿易枠組み合意の関税率への影響については言及していない。
- 本判決は、第232条(国家安全保障に基づく鉄鋼やアルミニウム等の関税)や第301条(不公正貿易慣行に基づく関税)の合法性には影響を及ぼさない。
過去の輸入申告に対する還付はどうなるか
最高裁判決は還付の問題について明示的に判断していないため, 過去の輸入申告に課されたIEEPA関税の還付の実施方法は不明確である。 本日行われた記者会見で、トランプ大統領は政府がIEEPA関税還付の問題について訴訟で争う意向を示した。しかしながら、過去の裁判所への提出書類では、政府は最高裁がIEEPA関税を違法と判断した場合には還付が行われるとの立場を示していた。
今後、米国国際貿易裁判所(U.S. Court of International Trade:CIT)が最高裁判決をどのように実施するかを決定すると考えられる。我々は、CITが還付手続きを確立するか、米国税関・国境警備局(CBP)に還付手続きを確立させるよう指示するものと見込むが、現時点では当該手続きがどのような形になるか、いつ発効するか、完了までにどれだけの期間を要するかは不明である。
当面、輸入者はIEEPA関税を支払ったすべての輸入申告について清算(liquidation)の状況を引き続き注意深く確認する必要がある。どの申告が未清算であるかあるいは既に清算されているかを把握することは極めて重要である。輸入者は、清算状況がいかなる異議期限(protest deadline)に影響するかを考慮し、さらなる助言を求めるべきである。
さらに、清算状況のモニタリングに加えて、次の輸入記録の収集を開始すべきである:
- CBPのオンラインシステムACE(Automated Commercial Environment)から、IEEPA関税を支払ったすべての申告についての輸入データを抽出すること。
- 影響を受け得る申告に係る完全な申告書類一式および関税支払の証拠資料の収集。
現下の新規輸入申告にとっての意味
我々は、CBPがIEEPA関税措置の徴収を停止するための実施指示を発出するものと見込んでいる。しかし、本アラート発表時点では、CBPはどのように最高裁判決を実施するかについての指示をまだ発出していない。
CBPがそのような指示を発出した場合、輸入者はIEEPA関税を支払う必要がなくなる。ただし、その他適用される関税については引き続き支払う必要がある。
進行中の出荷を有する輸入者は、CBPが指示を発出するまでの間、出荷を延期するかまたは貨物を保税倉庫に搬入することを検討することが考えられる。
第122条に基づく新たな10%の世界的関税およびその他の関税措置
同じく本日の記者会見において、トランプ大統領は1974年通商法第122条に基づく10%の世界的関税を発表した。第122条は、米国の大規模かつ深刻な国際収支赤字に対応するために「一時的輸入付加税(temporary import surcharge)」を課す権限を大統領に付与するものである。
このような関税は、議会が150日を超えて継続することを明示的に承認しない限り、最長150日間のみ課すことができ、また第122条は15%を超える税率を認めていない。これまで第122条に基づく関税措置を課した大統領は存在しない。
トランプ大統領は、新たな第301条(不公正貿易慣行)調査の開始を発表したが、どの国が対象となるかについては言及しなかった。
なお、第301条、第232条(国家安全保障に基づく鉄鋼・アルミニウム等)、および第201条(セーフガード)といった他の関税権限は、行政機関による調査、パブリックコメント期間、大統領への報告を必要とするため、即時には完了しない。
判決は最近交渉された貿易枠組み合意にどのような影響を及ぼすか
過去1年間にわたり、政権はIEEPA権限に部分的に依拠する形で、一定の国(例:欧州連合、英国、日本)との貿易枠組み合意を交渉してきた。
最高裁判決は、これらの貿易合意および合意された関税率に関して不確実性を生じさせるものである。
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