速報1.8.26

新年を迎えて強化される取締り:2026年に注視すべき関税・貿易コンプライアンスおよび司法省の動向


  • 米国司法省(DOJ)による関税および通関コンプライアンスの執行が加速しています。最近の刑事起訴、企業との和解、ならびに虚偽請求取締法(False Claims Act:FCA)に基づく和解は、関税回避、虚偽の原産国表示、トランスシップメント(第三国経由輸送)行為に対する民事・刑事の連携した監視強化を示しています。
  • 財務面および個人責任のリスクは極めて重大です。企業は高額な民事制裁金や和解金に直面する一方、経営幹部や従業員個人が刑事責任を問われる可能性もあります。内部告発者主導の案件は、引き続き取締りにおいて重要な役割を果たしています。
  • 強固なコンプライアンス体制と早期対応が極めて重要です。正確な原産国判定、防御可能な関税分類、実効性のある内部統制が不可欠であり、自主的開示および迅速な是正措置は、執行結果に実質的な影響を与え得ます。

2026年を迎えるにあたり、最近の米国における貿易取締りの動向は、関税および通関コンプライアンスに関する民事・刑事の執行が、依然として司法省、米国税関・国境警備局(CBP)その他の関係機関にとって最重要事項であることを明確に示しています。輸入、調達、サプライチェーン関連業務に従事する企業は、関税および関税支払義務を履行していない場合、引き続き実質的な執行リスクに直面しています。

本アラートでは、関税および貿易コンプライアンスに影響を及ぼす最近の司法省の措置をいくつか紹介するとともに、今後1年に向けた重要な検討事項を整理します。

関税および貿易コンプライアンスに影響を与える最近の司法省の措置

インドネシアの宝飾品メーカーに対する刑事起訴

2025年後半、ニュージャージー連邦地区の連邦検察局は、インドネシアの宝飾品メーカー1社、その共同所有者1名および従業員2名を、12億ドル超の宝飾品輸入に関して、8,600万ドル超の米国関税を回避する共謀の罪で起訴しました。訴状によれば、被告らは、インドネシア原産の宝飾品をヨルダン経由で輸送し、虚偽の優遇措置を主張したほか、宝飾品を米国製であると虚偽申告するなど、複数の手口を用いて関税回避を行ったとされています。起訴内容には、通信詐欺(wire fraud)共謀罪が含まれており、個人および法人被告の双方に対して重大な刑事罰が科される可能性があります。

本件は、虚偽の原産国表示および関税回避行為が、引き続き重大な刑事犯罪として取り扱われていることを改めて示しています。

プラスチック樹脂販売業者に関する貿易詐欺事件の解決

2025年12月、司法省は、中国原産のプラスチック樹脂に対するセクション301関税を支払っていなかったプラスチック樹脂販売業者に関する刑事貿易詐欺事案を解決しました。同社が不正行為を自主的に開示し、全面的に協力し、是正措置を実施したことから、司法省は企業執行・自主的自己開示方針(Corporate Enforcement and Voluntary Self-Disclosure Policy)に基づき起訴を見送る判断をしました。同社の子会社は、関連するFCA上の民事責任を解決するため、以前に680万ドルを支払っています。関連案件として、同社の元最高執行責任者(COO)は、虚偽の原産国表示を指示した行為に基づき、密輸共謀罪について有罪答弁を行うことに同意しました。

本件は、個人責任の追及が継続して重視されていること、ならびに迅速な自主的開示と協力がもたらす潜在的なメリットを浮き彫りにしています。

Ceratizit USA LLCに対する虚偽請求取締法(FCA)和解

同じく2025年12月、Ceratizit USA LLCは、中国から輸入された炭化タングステン製品に関する関税を意図的に回避したとの主張を解決するため、5,440万ドルを支払うことで合意しました。米国政府によれば、同社は、台湾を経由して輸送された中国製品について原産国を虚偽表示し、統一関税率表(Harmonized Tariff Schedule)に基づく誤った分類を行い、さらに原産国表示を適切に行っていなかったとされています。本和解は、FCAのクイ・タム(qui tam)条項に基づき、内部告発者によって提起された民事訴訟を解決するものです。

本件は、不正確な原産国申告、誤分類および表示違反に伴う重大な金銭的リスクを強調するものです。

2026年に注視すべき執行動向

これらの事案を総合すると、2026年も引き続き以下のような執行傾向が見込まれます。

  • 原産国表示およびトランスシップメント慣行に対する監視強化
  • FCA訴訟を含む、民事・刑事の並行的執行
  • 貿易詐欺に関与した経営幹部および従業員個人に対する責任追及
  • 通関不正の特定における内部告発者への継続的依存
  • 貿易詐欺タスクフォースを通じた、司法省、CBPおよび国土安全保障捜査局(HSI)間の連携強化

主要なコンプライアンス上の検討事項

国際取引に従事する企業は、原産国判定、関税分類および関税計算の見直し、サプライチェーンの経路およびトランスシップメント慣行の評価、内部統制および監査プログラムの強化、ならびに内部告発や調査への対応体制の検証を検討すべきです。

当事務所ができること

当事務所は、関税および貿易コンプライアンスに関するあらゆる問題について日常的に助言を行っており、政府調査の前・最中・後の各段階において、企業を支援してきた豊富な経験を有しています。当事務所は、以下の点でクライアントを支援することが可能です。

  • 予防的な貿易コンプライアンスレビューおよびリスク評価の実施
  • 原産国判定、関税分類およびセクション301関税リスクの評価
  • 通関コンプライアンスに関する内部プログラムおよび研修の設計・強化
  • 自主的自己開示戦略および是正措置に関する助言
  • CBP照会、司法省調査およびFCA案件における企業および個人の代理
  • 内部告発の申立ておよび政府からの召喚状への対応

最近の執行事例が示すとおり、早期の対策と十分なコンプライアンス戦略は、結果に実質的な影響を及ぼします。

おわりに

取締りが一層活発化する環境を踏まえると、新年の始まりは、企業が貿易コンプライアンス体制を再評価する絶好の機会です。最近の司法省の措置は、関税および通関コンプライアンス違反が、重大な民事制裁および刑事責任につながり得ることを明確に示しています。

これらの動向がビジネスにどのような影響を及ぼし得るか、また2026年における貿易コンプライアンス対応についてご検討されたい場合は、ぜひ当事務所までご連絡ください。

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