速報11.21.25

IEEPA関税返還を求めて


米国連邦最高裁判所は、2025年末から2026年初頭にかけて、国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act, IEEPA)に基づく関税措置の適法性に関する判断を下す見込みです。

輸入業者は、米国税関・国境警備局(CBP)への異議申立ての提出期限を把握し、期限内に申立てを行うことで、潜在的な関税返還請求に備える必要があります。

裁判所は、特別なIEEPA返還手続を設け、一定の書面提出や訴訟提起を要する可能性もあります。


米国最高裁判所がドナルド・トランプ大統領によるIEEPAに基づくフェンタニル関税および報復関税に対する訴訟を審理する中で、米国の輸入業者は、もし最高裁がこれらの関税を違法と判断した場合に備え、支払済みのIEEPA関税を回収するための法的権利を確保すべく、今から準備を進める必要があります。

2025年8月、米国連邦巡回控訴裁判所(Court of Appeals for the Federal Circuit)は、米国国際貿易裁判所(CIT)が下した「トランプ大統領のIEEPA関税は違法である」との判断を支持しました。司法省(DOJ)はこの控訴審判決を最高裁に上訴し、同年11月5日に口頭弁論が行われました。最終判断は2025年末から2026年初頭に出される見通しです。

もし最高裁が下級審の判断を支持し、IEEPA関税を違法と認定した場合、IEEPA関税は撤廃され、2025年2月以降に支払われたIEEPA関税について、米国輸入業者が返還を受ける資格を有する可能性があります。もっとも、米国関税法上、返還は自動的に行われるものではなく、最高裁の判断が返還手続の方法に直接触れるとは限りません。したがって、輸入業者は、最高裁判決によってIEEPA関税返還の道が開かれる可能性に備え、今から準備を始めるべきです。

IEEPA関税返還手続

現時点では、どのような返還手続が適用されるのか、また返還が裁判所によって処理されるのか、それともCBPによって処理されるのかは明らかではありません。

裁判所は、新たな書面提出や訴状提出を要する特別な返還手続を設ける可能性があります。一方で、裁判所が輸入業者に対し、厳格な期限が定められている通常のCBP手続を利用するよう指示する可能性もあります。具体的には、輸入業者は次のいずれかを行うことを求められる可能性があります。

  1. 「未確定(unliquidated)」の輸入申告に対して、サマリー後修正(post-summary correction)を提出すること、または
  2. 「確定済み(liquidated)」の輸入申告について、確定から180日以内に異議申立て(protest)を提出すること。

「確定(liquidation)」とは、CBPが最終的に関税額を算出する行為を指し、通常は輸入から約314日後に行われますが、それより早く確定することもあります。

将来的な返還の可能性に備え、輸入業者はIEEPA関税を支払ったすべての輸入申告について、その確定状況を詳細に把握しておく必要があります。各申告が「未確定」なのか「確定済み」なのかを把握することが、現在極めて重要です。

申告が確定した場合、輸入業者は返還請求の権利を保全するため、180日以内に正式な異議申立てを行わなければなりません。この180日の期限は法定の厳格な期限であり、これを過ぎると、その申告に関する関税の返還請求権を永久に失います。この180日の期間延長は一切認められません。

さらに、確定状況を確認することに加え、輸入業者は将来的に返還が認められた場合に備えて、必要となる記録の収集を開始すべきです。これには以下が含まれます。

  • 自動通関環境システム(Automated Commercial Environment, ACE)から、IEEPA関税を支払ったすべての輸入申告のデータを抽出すること(ACEは輸入申告情報および関税支払記録を保管するCBPのオンラインシステムです)。
  • 影響を受けるすべての輸入申告に関する完全な申告書類一式および関税支払証明書類を収集すること。

すでに確定しており、かつ180日以内の申告については、最高裁判決が出る前でも異議申立てを提出することが可能であり、判決後にその内容を補足することもできます。

また、確定後にCBPに対して異議申立てを行う以外にも、輸入業者はIEEPA関税の返還を求めて連邦裁判所に訴えることを検討する余地があります。しかし、そのような訴訟の適切な裁判地や管轄権については、依然として不明確な点が残っています。特に注目すべきは、CITが連邦法第28編第1581条(i)項(裁判所の「残余的管轄」)に基づき、IEEPA関税に対する異議申立てを専属的に管轄する権限を有すると判断した点です。

この判断はその後、連邦巡回控訴裁判所によって支持されました。しかし、最高裁での口頭弁論では、IEEPAがそもそも大統領に関税賦課の権限を付与しているのかという点に異議が唱えられており、この点の判断いかんによっては、CITの専属管轄が妥当であるかどうかに影響を与える可能性があります。

詳しくは英語版をご参照ください。

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