米国国土安全保障省、H-1B抽選選考プロセスの変更を提案

- 米国国土安全保障省(DHS)は、H-1Bビザの選考プロセスに影響を与える新たな規則を提案しました。
- この規則はまだ提案段階にあり、今後30日間、一般からの意見募集が行われます。
- この提案規則が施行されれば、過去10年間で3度目のH-1B抽選に関する大きな変更となります。
- 最終規則として施行された場合には、法的な争いが生じる可能性があります。
2025年9月24日(水)、DHSは、もし施行された場合には米国市民権・移民局(USCIS)によるH-1Bビザの選考方法に影響を与える規則を提案しました。この規則は現在、一般からの意見募集の対象となっており、賃金を技能の指標と見なし、高賃金の外国人従業員が選ばれやすくなるような新たな制度を提案しています。最終規則として確定した場合には、公表日から60日後に発効するので、来年度のH-1B抽選に間に合う可能性があります。
H-1Bビザのカテゴリーは長年にわたり申請数が上限を超過しているため、USCISは毎年抽選を行い、年次割当数の範囲で雇用主と受益者を選定しています。これまでにも抽選制度は変化してきました。2020年3月には、USCISは抽選を実施するにあたり、雇用主に請願書を提出させる代わりに電子登録プロセスを導入しました。また、2019年には、米国の大学院学位を有する者が選ばれる可能性を高めるために抽選順序が変更されました。
提案規則の主な内容
支払われる賃金の特定
提案規則に基づく選考およびランク付けプロセスの一環として、登録者は、当該職務および勤務地について提示される賃金がどの賃金水準(4段階のうちのいずれか)に一致またはそれ以上であるかを示すチェック欄を選択する必要があります。さらに、職務コード(SOCコード)および職務が行われる場所を提供しなければなりません。これらの情報やその他必要事項は、フォームの指示に従う必要があります。提示賃金、職務コード、勤務地は、請願書に添付される労働条件申請書(LCA)にも記載されなければなりません。
提案規則では、労働者が複数の勤務地や複数の職務を持つ場合、最も低い賃金水準を選択しなければならないとしています。これは、雇用主や受益者が、見かけ上より高い賃金に見える勤務地や職務を選ぶことを防ぐためです。特定の賃金額ではなく賃金幅を使用する雇用主に対しても同様の規則が提案されています。
重み付けされた選考プロセス
登録者数がH-1Bビザの上限を超えた場合、USCISは提示賃金水準に基づいて以下のような重み付け抽選を行います。
- 賃金水準 IV:4口分の抽選権
- 賃金水準 III:3口分の抽選権
- 賃金水準 II:2口分の抽選権
- 賃金水準 I:1口分の抽選権
これは、高賃金の職務に就く受益者が選ばれる可能性を高めることを目的としています。複数の抽選権を得ても、選ばれるのは1回に限られます。最終的な選定は、依然としてコンピュータによる無作為抽選で行われます。
もし通常の14日間の登録期間中にH-1Bの上限に達するだけの登録がなかった場合、USCISは賃金水準にかかわらず、適正に提出されたすべての登録を選び、想定人数に達するまで登録を受け付けます。最終登録日に提出された登録数が上限を超えた場合(これが歴史的に通常のパターンです)、USCISは提示賃金水準に基づいた重み付け抽選を行います。
高学位保持者の選考
65,000件の枠が埋まった後、USCISは大学院学位免除分についても同じ重み付け抽選を用います。もし米国の大学院学位を持つ受益者が初回登録期間中に上限に達するだけ登録されていれば、USCISは同じ賃金基準のシステムを使って選定します。
初回登録期間中に十分な大学院学位保持者の登録がなかった場合、USCISは賃金水準にかかわらず、適正に提出されたすべての登録を受け入れ、上限に達するまで受け付けます。最終日で上限を超えた場合には、重み付け抽選が行われます。
登録プロセスの停止の可能性
2021会計年度(トランプ大統領の1期目)の電子登録制度導入以前は、請願者は4月1日までに完全な請願書を提出し、それが無作為に選ばれていました。今回の提案規則(105ページ)全体において、将来的に登録制度が停止される可能性が複数示唆されています。
電子登録制度が停止された場合、DHSは、USCISが各請願書を審査し、フォームの指示に従って賃金水準を割り当てると提案しています。もし最終日に提出された請願書がビザ上限を超えた場合、USCISは同じ重み付け抽選を使用し、賃金水準Iより高い水準に複数回抽選権を割り当てます。
登録プロセスで選ばれた場合の請願書提出
登録プロセスが停止されない限り、雇用主は、登録システムで選ばれた場合にのみH-1B請願書を提出できます。この規則は、H-1Bビザの上限対象となる労働者、または特定の免除対象となる労働者に適用されます。
H-1B請願書には、選ばれた登録と同じ情報(労働者名、職務詳細、SOCコード、提示賃金)が含まれていなければなりません。この情報は、請願を支えるLCAに記載された内容と一致している必要があります。請願書の提示賃金は、労働者が雇用される地域の当該職務・賃金水準に関する労働省の一般賃金水準以上でなければなりません。
登録フォームには、最も低い賃金水準に該当する勤務地のみを記載すればよいとされています。しかし、完全な請願書には、労働者が勤務するすべての場所を記載しなければなりません。請願書に記載された勤務地が登録時のものと異なる場合でも、USCISは変更を認める可能性があります。ただし、その勤務地が登録時に存在していた実際の職務であることが条件です。
結論と規則の影響
この提案規則は、H-1B登録および選考プロセスに賃金水準を重要な要素として組み込み、選考優先順位を決める点で大きな変更を導入します。登録者に対して、提示職務が満たす最高の賃金水準を申告させ、それを重み付け抽選に結び付けることで、この規則は高賃金の職務を優遇することを目的としています。
この変更が施行された場合、最も大きな影響を受けるのは、H-1Bビザで初級職を採用・スポンサーする雇用主です。こうした職務はしばしば賃金水準の下位に位置するためです。一方で、賃金基準を導入したシステムは、移民国籍法(INA)がH-1Bの選考を「提出順」に基づくと規定している点を根拠に、法的に争われる可能性があります。
この提案規則が施行されれば、抽選選考プロセスは大きく変わることになります。Barnes & Thornburgは、今後さらなる明確化が行われ次第、最新情報を提供します。詳細についてはこちらのリンクからご登録の上、英語版動画をご参照ください。
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